中国経済大予測
中国経済について白紙から短期間で学習する必要があり、とっかかりに買ってみた本。最初に読む本としては大正解だったかもしれない。中国経済の本はたくさん本屋に並んでいるのだが、どれも著者独自のミクロ視点が売り物であって、基礎知識のない私には全体像を読む解くのが難しかった。この本はマクロ視点で中国経済の現状説明と未来予測が、多数の統計、グラフを用いながら49項目に分けられて説明されていく。
著者は第一生命経済研究所経済調査部主任アナリスト(海外経済担当)。全般的に数字の分析主体の調査報告書であり、現地に入ったら実態がどうでしたとか、誰々さんはこんなことを言っている、というミクロな話はほとんどない。その代わり、各項目でよく選ばれたデータを軸に、この要素はGDPに何パーセント影響する、ここ数年の動きはこうなっている、日本と比較するとこうだ、という私が欲しい情報が集められていた。
この本では中国経済は2010までは毎年7%以上の高成長率が続くと予測されている。2008年に北京オリンピック、2010年に上海万博があり、それが大きな牽引力となるからだが、それ以降は鈍化する可能性が大きいとされている。
問題は投資主導の高成長が続いていること。2003年度で固定資産投資の伸びが前年比30%増に対して、GDPの半分を占める個人消費は10%増にとどまっている。このままでは需給バランスが崩れてインフレ、デフレも懸念されている。
しかし、市場の大きさとその潜在は他国と比べ物にならない。13億人の国のことなのでとにかく数字が大きくて唖然とする。今は安くモノを作っている国という印象があるが、10年以内に世界消費の主役となることは間違いないようだ。
気になった情報メモ:
・高い経済成長率と低い株価
決算虚偽報告の蔓延による、株式市場に対する投資家の不信が主要因とされている。
・巨大な潜在市場
既にビールは米国を抜き世界最大市場でこのまま拡大。自動車は2010年に400万台を突破。2010年に携帯電話ユーザ8億人。
・家電業界でベトナムへの工場移転進む
沿岸部の所得増大により人件費の割安感が減る。安い労働力のある内陸部へ移転すると輸送コストがかさむために南のベトナムへ移転するということ。
・香港国内観光が爆発的に増大、儲かっている観光産業
香港への個人旅行解禁。リピータ率高い。個人観光客の5割以上が2,3ヶ月に一度訪問する。大半はブランド高額商品のショッピングをする。2005年末に香港ディズニーランド開園予定で中国人の60%が興味を持っているという。
・都市部と農村部の所得格差は3.2倍
実際にはもっと大きく世界最悪との説もある。都市部で外資企業勤務が高所得。
・国有企業の人材流出
給与が1.4倍高い民間、外資系企業へ転職進む。40台で有能な管理職が流出の中心で、1998年から2003年の間に国有企業の10%以上の人数が離職している。
・日本より急速に進む高齢化と男性結婚難
一人っ子政策の効果がありすぎて人口ピラミッド崩壊。2000年時点では65歳以上人口は6.8%に過ぎないが、2040年には21.8%(5人に1人)に達する猛スピードの高齢化。一人っ子政策で女子が密かに間引きされたようで、2000年の新生児の男女比が118:100になっている(世界平均105:100)。地域ではさらに顕著。9歳未満では男子が1200万人以上も多く、結婚であぶれてしまう。
・BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の経済は2035年にG7の規模を超える
中国はそれまでにG7入りしてしまいそうだが、とにかくこの4カ国の成長振りは目覚しいようだ。2000ねんん時点ではBRICs:G7は10:1だが、これが逆転するという。
・2010年には日本の最大輸出国に
2000年時点では6.8%だが2015年には29.8%に増加と予測。というわけでビジネスをしている限り中国とのつきあいは米国以上に増えることになりそう。私の息子は英語より中国語ができたほうが良いのかもしれない?
他にもメモしきれないたくさんの情報を得た。さて、だいたい背景が分かったので、ミクロな本も読んでみよう。
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