スナップ・ジャッジメント瞬間読心術
「パワープレイ」などの小手先心理操作術で名をはせた著者が、今度は瞬間読心術を新書で出している。心理学の論文や統計データをもとに、ジェスチャーや口癖、体型や服装から、相手の心理を読んだり、類型に分類するための診断リスト集。
・丸顔の人→迷信的
・まぶたが厚ぼったい→嫉妬深い
・耳が小さい→臆病で粘り強さに欠ける
・あごの先がほっそりしている→創造力豊かなアイデアマン
・「でも」が口ぐせ→超保守的
実用性はあるのかどうかはさっぱり分からない。当たることもあれば外れることも多そうなものばかり。ただ、読心術というのは相手の腹を読みきっているという自信が、交渉でイニシアチブを取るきっかけになるという面もありそうだ。交渉はスキルが同じなら、強気なほうが大抵は勝つわけだから、相手と状況を把握したと思い込めるのが大切なのだとも思う。
この本は文章を書く人にとって参考になるかもしれない。コラムや小説などの中で、人間を描写したいときに、動作や容貌描写で性格描写を行いたいことがある。だが、普段余程の人間観察家でない限り、何を書けば性格描写につながるか分かりにくいものだ。
例えば、次のように描写した場合、
A 彼は細く白い指で資料の数字を指差した。
B 彼は太く骨っぽい指で資料の数字を指差した
これだとだいぶ意味が違ってくるだろうし、
A うつむきがちに手を後ろに組んで彼は部屋に入ってきた
B 早足で手を大きく振りながら彼は部屋に入ってきた
やっぱりこれも印象が違うと思う。
性格と動作が一致するかどうかは分からないが、タイプAの方が繊細で、Bの方が自信家の印象を与えるだろう。文章を書く場合、どこに着眼して書くかが重要である。実際には、細く白い指でうつむきながら歩く自信家もいるのだろう。だが、そう書いたら性格描写としては伝わりにくい。スナップジャッジメントに登場する診断項目と性格分類にはこうした事例が多数含まれている。
個人的には後半の逆ジャッジメントの方が面白かった。こういう性格の人はこういう態度、容貌をしているというリスト。前半と逆である。
関連:
テレビの有名人の動きを分析した下記のサイトも面白かった。久米博のジェスチャーはそういう意味があったのか。
・人の動き研究室 人とお店のアクション分析
http://homepage2.nifty.com/ugoki/page/top.htm
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