文房具を楽しく使う ノート手帳篇
・文房具を楽しく使う ノート手帳篇
楽しい一冊。
■海外のノート、手帳の徹底レビュー
ロディア、クォバディス、モールスキン、エルコ、クレールフォンテーヌ、アムパッド。この本で紹介される海外のノート・手帳メーカーの名前である。マルマン、無印、3M(ポストイット)、ツバメノートなど、日本でも良く知られたメーカーももちろんでてくる。紙や表紙の質感がよく伝わるカラー写真を多用して、それぞれの製品の魅力や著者の思い入れ、使い方ノウハウが語られる。
ノートには固定綴じ、バインダー式の大きく2分類があり、固定綴じは糸綴じ(一段綴じ、多段綴じ)、ワイヤー綴じ(シングルワイヤー、ダブルワイヤー)、ステープル綴じ、無線綴じの4種類があり、バインダー式にはリング綴じ(金属リング、プラスティックリング)、パイプ式、ひも綴じの2種類があるとまず、分類が説明される。この分類で優れた製品を次々に紹介する。
著者は文房具情報サイトを運営していて、とにかくたくさんの文房具を日々、試している。店頭で眺めるだけでは、知りえない各製品の長所と短所、活用シーンがとても参考になる。
・ステーショナリープログラム TOP
http://www.pluto.dti.ne.jp/~sprg/sprg.html
著者のサイト
■多ノートのつながり
この本は特定の使い方、○○式を推奨するものではない。むしろ、著者は文房具が大好きで日々新しいノート、手帳を”味わいたい”人のようだ。自ら”多ノート”であると宣言している。複数のノートをTPOにあわせて、組み合わせる”つながり”を熱く語る。携帯して使う小さな手帳と、オフィス・自宅においておく大きなノートの組み合わせや、家計簿と写真アルバムの組み合わせなど、著者周辺の事例がいくつも取り上げられている。
後半では、パソコンやPDAとの連携についても軽く触れられている。ちょっと感心したのが、ロディアのCLIC BLOCというメモ用紙で、上質の紙質のメモであると同時に、マウスパッドにもなる。電子デバイスとパルプの上手な連携と言える。
■「余白」「使わない」も「使っている」
著者はサイト運営の過程でたくさんのユーザのノート、手帳を実際に見る機会があったそうだが、「皆さんの手帳を見てもそれほど蜜に書いているわけではないのですね。余白のほうが多いかたもたくさんおられます。そういった経験から、手帳の紙面を埋める必要はないのだと楽な気持ちになることができました。簡単に言えば「使わない」ことも「使っている」ことに。」と書かれている。
これ、卓見のような気がした。例えばオフィスのプリンタ印刷用の紙やインクにしても、大量に買い置きがあると、気軽に紙に出してみることができる。そうした出力から生まれるインスピレーションもある。残り枚数を気にしていては、こうした実験的な印刷を躊躇してしまう。
私の知人でとてもクリエイティブなプロデューサがいる。彼は、文房具ではなく、画材用の大きなキャンバス用紙をメモ代わりにしている。持ち運びが大変そうだが、大きな用紙を贅沢に使うとアイデアも形になりやすいようだ。
メモには私もA4サイズの黄色いリーガルパッドを使っている。昨年からの習慣なのだが、大きな用紙はアイデアを書き付けるのに自由度が高くていい。一度書いたメモに後から追記することも容易だ。余白や余剰にはアイデアを書かせる「アフォーダンス」があると言えそうだ。
■思い入れも大切な文具選び
この本を読んでの感想は文房具選びは思い入れが、大切なのではないかということ。文具はいくら上質で機能的であったとしても、それが好きでなければ、毎日携帯して使う気にならないと思う。ペンとの相性、書き心地の重要性も指摘されている。それを使う体験全体、質感全体に対して愛着を持つことが、活用の第一歩なのではないかと思う。
この本の場合、大きな文具屋でないと扱っていないであろう、海外の製品が多く紹介されている。無論、世界で選ばれた逸品という理由があるわけだけれども、同時に普段目にしないモノ、他人が使っていないモノは、愛着を持ちやすいということでもあるのだろう。
私は電子メモも多い。以前、紹介したChangelogというアプリケーションを自分なりにカスタマイズを加えて使っている。もともと相当便利なアプリだが、自分なりに少し工夫をできる余地があったことが、愛用の理由になっているなあと思う。
・Passion For The Future: メモが上手になる技術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001388.html
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私もこの本に影響されたわけではないけど、モールスキンのノートが欲しくなっています。どうしよっかなあ...。