ヒトが永遠に生きる方法―世界一やさしい身体の科学
深く考えるきっかけを与えてくれる軽い読み物。中学生でも読めるレベルの難易度。
冒頭、
「
京都には、美しい庭園をもつお寺がたくさんあります。
あるお寺の庭園には、不思議な力を秘めた3つの泉が湧き出しています。言い伝えでは、1番目の泉の水を飲めばお金持ちになれ、2番目の泉ならすてきな恋にめぐりあい、3番目の泉なら長生きできるというのです。
みなさんなら、どの泉の水を飲んでみたいと思いますか?
」
という問いかけがある。3番目が多く選ばれるのではないかとして、この本は始まる。
これは、私も以前、ビジネス的に考えたテーマだった。
・最強無敵ですべてがわかる情報技術
・200年生きることのできるバイオ、ナノ技術
とふたつの技術があった場合、人は投資対象として後者を選ぶのではないか。だから、ITよりもバイオ、ナノ技術のほうが有望なテーマではないのか?と思ったのだ。
1万2千年も生きる生き物がいると最初にクレオソード・ブッシュの例が紹介される。
・Creosote Bush (DesertUSA)
http://www.desertusa.com/creoste.html
実物の写真あり。砂漠の植物。
1万2千年を生きる動物はいないが、
2000年、イギリスのある一家に6世代が同時に生きている一家が誕生した。曾曾曾曾おばあさんが世界で初めて誕生した瞬間であったという。計算してみると大変なことで、18歳で子供を産み続けても、曾曾曾曾おばあさんは108歳になってしまう。実は先日、私の父方の祖母が88歳で他界した。10ヶ月の息子にとっては曾おばあさんだった。ぎりぎり二人が対面することができたので、祖母の寿命に間に合ったのは良かったと思ったく。これがさらに二世代先までなんて信じられない。
一般的に男性より女性が長命というのは有名で私の家系でもそうなっているが、この本による嘘かもしれないらしい。男性が外で危険な仕事に従事することが多いから統計的にそうなるという解説はなるほどねと納得。そして寿命は遺伝するという話も、最近の科学雑誌などで読んだ。
老化の原因はDNAを破壊する電子を伴う分子構造のフリーラジカルの活動にあるらしい。これを抑制する食物を多くとることで老化を防止し、長寿を達成できるという。食べ過ぎず、空腹のほうが良いとの説もある。
長寿のためには遺伝子、安全な生活、食物、ストレス対策などずいぶん、気をつけるべきものがあって忙しい。結局、科学的に完全に解明されていないので、学者も揺れているようだ。
・永遠の命を求める人々の心理を探る
http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/20021122303.html
・『究極の延命』会議報告:不死への科学的アプローチ
http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/20021122302.html
・突然変異遺伝子で寿命が倍に?
http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/20001218303.html
最後に永遠に生きる方法が語られる。現在の技術が進歩したらという条件付で、2210年までの未来年表が作られている。ほとんどSFだが、科学の進歩次第では私たちの世代でも、永遠の生命を手に入れられるかもしれないという予言。
長寿が達成されたとなると、次はおそらく孤独が問題になるのだろう。
・Passion For The Future: 100歳まで生きてしまった
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000195.html
バイオ、ナノによる老化防止の技術の次は孤独防止の技術が儲かる。私はそう予測している。だから、どうしたと言われても困るのだけれど。
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