日本語ドメインを普及させる5つのアプリケーション
さて、下記のサイトで、ここ数ヶ月提案している、「Webドメインマーケティング」。先日プレスの方々にお話をさせていただく機会があり、記事として雑誌やWebサイトにも反応があったようだ。
・連載中のWebドメインマーケティング
http://webdomainmarketing.jp/
・「.com」「.co.jp」などのマーケティング効果を考えるサイト
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2003/08/11/118.html
・日経ビジネス(購読会員のみ)
http://nb.nikkeibp.co.jp/members/REVIEW/20031030/104614/
・ZDNET ドメインの新常識はケータイが作る?
http://www.zdnet.co.jp/broadband/0311/06/lp22.html
さて、この3つめのZDNETの記事で、(マジックナンバー7±2が記事に!)
「JPRSによると、一番のネックは、対応するWebブラウザだという。現在、デフォルトで日本語ドメインをサポートしているのは、「OPERA」「Netscape 7.1」「Mozilla 1.4」の3種類。一方、マイクロソフトの「Internet Explorer」は未対応で、日本語ドメインをサポートするには、JPRSが配布している専用プラグイン「i-Nav」を導入する必要がある。インターネットユーザーの9割以上が利用しているIEだけに対応が待たれるところだが、今のところ具体的なスケジュールはたっていないという。
しかし、橋本氏は別の方向から日本語ドメインが浸透する可能性を指摘した。「携帯電話では、ソニーのPOBoxに代表される日本語予測変換が“当たり前”の機能になっている。仮に、これで日本語ドメインが簡単に入力できるようになれば、企業はマーケティング活動に積極的に活用するだろう」。」
として私と記者さんとのやりとりが一部出てくる。私のお話したことは正確に記事にしていただけたのだが、実はもう少し私はアイデアを話していたので、この場を借りて補足させていただきたい。
私は、日本語のドメイン名は近い将来、大きく普及する可能性があると思っている。上の記事を読みながら、日本のドメイン管理組織JPRSさんよりも私の方が可能性を信じているような気がして、可笑しくなった。JPRSさんが考えるように現状のネックはブラウザ=「マイクロソフトの対応」であるが、私は日本語ドメインの普及のキーとなる場所はWebブラウザのロケーションフォームではない、と考えているのだ。
・JP日本語ドメインについて
http://jprs.jp/info/notice/idn.html
■日本語ドメインのキラーアプリケーション(ここでは応用の意)
1 キーボードレス環境の予測入力
ソニーの携帯に採用されたPOBOXなど、キーボードレスのモバイル端末上のURLの入力は、通常の数字ボタン入力ではあまりに面倒である。POBOX予測入力で、例えば「そうむ」と入力すると候補に「総務省」が表示される。この変換作業確定後にもうひとつの「エキストラボタン」を押すと「総務省.jp」と.jpの文字列が追加入力されるようになれば、携帯での日本語ドメインは恐ろしく便利になるはずだ。
・増井俊之氏によるモバイル文字入力手法情報
http://pitecan.com/OpenPOBox/info/InputMethods.html
この人は天才。日本のインタフェースと情報可視化の革命を起こす研究者
・ケータイの日本語入力は進化する──T9日本語版に新バージョン
http://www.zdnet.co.jp/mobile/0102/06/t9.html
2 音声入力
たとえば声を出して「総務省」と言ってみる。「そうむしょう」。URLとしてローマ字変換しようとしたとき、「soumusho.jp」「sohmusho.jp」「soomusho.jp」「somushoo.jp」など幾つもの候補が考えられてしまう。siとshi、tsuとtuなどローマ字方式によって異なった正解があるケースが多々ある。これでは音声入力で一発で特定のURLにたどりつくのは困難である。そこで、「そうむしょう」と発話したら「総務省」と認識し「総務省.jp」へ飛ばせば良いのだ。便利ではないか?。携帯に音声入力を搭載する動きもあるから1と連動するかもしれない。
・NEC、携帯から自然な言葉でテキスト情報を検索できるシステム
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/16299.html
3 広告
紙の広告やテレビコマーシャルなど、広告表現の中で、15秒程度でユーザに商品名とURLを認知させようとしたとき、我々日本人は、慣れ親しんだ日本語表現の方が圧倒的に記憶に残るはずだ。例えば紙おむつを広告宣伝するとして、「紙おむつ.jp」なら分かりやすい。「kamiomutsu.jp」「kamiomusu.jp」?。これでは、分かりにくい。漢字は音と同時にビジュアルに意味を表す表意文字であり、少ない文字桁数で豊かなイメージを喚起できる。主要ブラウザと予測、音声入力の対応が進めば、広告表現におけるURL表示の大半は、日本語ドメインに置き換わる時がくると私は考えている。
この3つが主な応用となるだろう。さらに次の2つも可能性があると思う。
4 検索エンジンとURL入力欄の合体化
現在のPCデスクトップ環境では、URL入力は英数、検索エンジンのキーワード入力はかな漢字変換モードである。URL欄にかな漢字モードでタイプしてしまって(*)、打ち直した経験はきっと多くの人が日常の不便利として体験していないだろうか。
*そういうときはWindowsならF10を押せば直るというトリビア
先日Googleが検索フォーム機能をデスクトップのタスクバーへ統合するアプリケーションGoogleDeskbarを発表した。マイクロソフトなども次世代Windowsではデスクトップとネット検索の統合を検討していると聞く。Googleの検索キーワードランキングを見るといつも上位に「YAHOO」「楽天」などが入っているが、これらは単にhttp://www.yahoo.co.jp、rakuten.co.jpのショートカットとしてGoogleを使っていると思われる。
そう、もはや、このふたつのフォーム欄は別である必要はないはずだ。デスクトップ上(例えばWindowsスタートボタンの隣)で、ひとつに統合してしまえばよい。(JWORDなどこの種のベンチャーの試みは過去にもあるのだが、デファクト標準を取れるベンダーではなかったし、用途に圧倒的な便利さがないこと、インタフェースが中途半端なのが普及していない原因と思われる。)。
・GoogleDeskbar
http://toolbar.google.com/deskbar/
・JWORD
http://www.jword.jp/
5 セマンティックWebアプリケーションにおける対応
セマンティックといえるかどうかはともかく、日本語の単語を動的にリンクするようなアプリケーション。例えば、Wikiやはてなダイアリー。単語のリンク先選択候補(*)として、定義と日本語URLを、候補表示するなどの応用。文章意味解析を伴うアプリケーションでは自然と日本語の単語を切り出す処理が増えてくる。これらのデータに.jpをつけることでサービスを実現する。まだ用途は私も漠然としている。
*現状はリンクは1対1しかできないが次世代のハイパーリンク規格では一対多のリンクなども規定される。
とメイン3つ、サブ2つの応用を考えてみた。前提としてユビキタス技術の普及と相対的にPCとブラウザーからのインターネットアクセスの比率が下がるという考えがあることは付記したい。
何年も前から私は、日本語ドメインの可能性については何度か考え発言してきたが、そろそろ本当に普及しておかしくない材料がそろってきたと感じる。かつて、メールのサブジェクトは文字化けするから英語で書けなど言われることもあったが、今は日本語が当たり前である。便利な応用が実現するならば、URLやメールアドレスも日本語になってもおかしくはない、と思うのだ。
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