エブリデイ・ジーニアス 「天才」を生み出す新しい学習法
プライベートなことを話すと、私には生後2ヶ月の息子がいる。第一子であり、今は寝返りの練習中である。だからというわけではないのだが(だからなのかもしれないが)、こんな天才育成本を読んだ。
天才児には以下のような統計があるらしい。
1 天才児の大半は男子である
2 天才児は中産階級の家庭の第一子であることが多い
3 天才児の親は、出産平均年齢よりも高齢で子をもうける傾向がある
4 天才児は、帝王切開で生まれる率が高い
5 天才児の親は、驚異的な才能を持つ子どもを通じて自分自身の野心を実現しようとする率が高い
それぞれ意味があるのだが、結論は天才は生得的なものと思われているが近年の研究によって、環境が大きな役割を果たすことが分かってきたのだという。子どもに限らず成人も含めて、学習を楽しませ、潜在意識に働きかけるような「アクティビティ」を実践することで潜在能力を驚異的なまでに引き出すことができる、というのが著者の論旨。
【バースデーサークル】
人の輪の中に、祝いたい人物を入れて、その人物の良いところを、心から褒めちぎるアクティビティ
【ノー不平デー】
家族の会話において一切不平不満を言わないというルールで過ごす
後半には、上記のような多数の実践アクティビティのノウハウが紹介されている。音楽やマインドマップを使った学習などもあった。どのアクティビティもポジティブ指向のルールの中で、自然に子どものアイデアを引き出そうとする試みだ。この本は主に子どもの教育が主眼だが、クリエイティブな会社でも同様のことが行われているなと思う。
創造性の高い組織はパーティーや個人表彰が上手だし、新人歓迎やプロジェクトの打ち上げにも工夫が見られ、楽しげな風土が形成されていることが多い。先日紹介したIDEOの本にもそうした記述が多くあるし、私が訪問した多くの急成長したシリコンバレー企業にもそういった習慣(ゲームや儀式)を良く見た。ボールを持っている人がアイデアを話したり、プログラムのコードを短縮したことを誇るグラフを壁一面に張り出したり。
(実際、著者のピータークラインはこの手法を組織に実践した別の本「こうすれば組織は変えられる!―「学習する組織」をつくる10ステップ・トレーニング」も書いている)。組織風土を定着させるツールとして、この本のアクティビティはどれも検討の余地がありそうだ。
日本では、子どもの教育と言うと「百ます計算」の陰山先生が有名であるが、その内容は、低学力の克服、ボトムアップ指向のツール論中心でピンとこない。日本には、天才を意図的に作り出そうとする教育実践の専門家はいないのであろうか?
天才と言えば、知人が最近、経済産業省の外郭団体である情報処理振興事業協会から「天才プログラマ」の認定を受けた。彼の研究も面白いのでBlogに書こう、書こうと思いつつ説明が面倒でまだ書いていなかった。ある意味国家認定の天才だから、今度会ったら、このテーマについて意見を聞いてこようと思う。
・陰山学級物語
http://www2.nkansai.ne.jp/sch/hpkage/
・8名の天才プログラマー/スーパークリエータを発掘
〜平成14年度『未踏ソフトウェア創造事業』開発者の評価〜
http://www.ipa.go.jp/ipa/press/15FY/20030926.html
評価:★☆☆☆☆
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