エンド・オブ・ザ・ワールド 完全版
9月11日。ふたつの不寛容がぶつかってしまった日。
フランス文学者の渡辺一夫が晩年考え抜いたテーマ「寛容は不寛容に対して寛容であるべきか」の答えは、歴史を見る限り、長い目で見ると寛容が最後には勝つのだよ、勝つことを祈りましょう、ということだったと思います。長い目でみたら不寛容がどういう結末に陥るかの想像力、ビジョンがあったらああいうことにはならなかったんだろうなと思います。
これは名作SF小説「渚にて」の映画版。
核戦争勃発直後の世界を、派手な爆発破壊シーンではなく、市井の人たちの人間ドラマを中心にして映像化。迫りくる「最後の日」を前に、登場人物たちが残された時間をどう生きるかが、ゆっくりと静かに描かれます。もう変えられない未来を知った、登場人物たちが大切な人と過ごす最後の日々。その静けさが逆に怖いほど現実感、恐怖感を感じさせます。
私も妻も見終わってからしばらく絶句状態でした。感動。
不寛容な国際政治のリーダーさんたちに今日、見てもらいたい映画です。