脳はいかにして“神”を見るか―宗教体験のブレイン・サイエンス
脳はいかにして“神”を見るか―宗教体験のブレイン・サイエンス
仏教徒やキリスト教徒が深い瞑想やトランス状態に陥ったときの脳の電気化学的な状態を調べることで、宗教体験による「こころ」の高揚や不思議な体験を、科学的に分析してみせる。
著者はバリバリの科学合理主義者。宗教者には敬意を払いつつも、悟りだとか解脱というのは脳が、極端な抑制または極端な興奮状態になったときの防衛反応として脳が外部からの情報を強制遮断するようになる。その結果、世界との一体感やら光のトンネルやらといった、どの宗教にもありがちな神秘体験をするのだよ、と述べている。そしてそれらはどの宗教でも似通った普遍的なもので、脳の構造に由来しているのだよ、と言う。
著者曰く、リアリティというのは脳が感じるものであって、現実体験も神秘体験も、その人にとっては、より強く現実と感じられるものがリアリティなのだ、と。神様は幻想とも言えるし、現実でもあるってことになりますか。
訳者はソニー、クオリアの提唱者の茂木 健一郎。ポピュラーサイエンス系の本としてはとてもよく書かれた面白い本でした。おすすめ。
評価:★★★★☆
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